肥満と病気
肥満とは単に体重増加だけではなく、体内に脂肪組織が過剰に蓄積した状態を示しています。
最近になって、脂肪組織からは、レプチン(食欲、女性ホルモン分泌等の調節)や腫瘍壊死因子:TNF-α(インスリン抵抗性作用)、
性ホルモンなどさまざまな物質が分泌されていることが明らかになってきました。
例えば、過剰なTNF-αは、インスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病や高血圧の発症に、また性ホルモンの過剰分泌により、
更年期以降の乳がんや子宮がん発症の要因となることがわかってきました。
したがって体重の増加、脂肪組織の渦状蓄積は以下のような症状を引き起こしやすくなるといわれています。
糖尿病・高血圧症・高脂血症
心疾患、乳がん、子宮がん等の生活習慣病(成人病)と呼ばれる内科的疾患・
不妊症 ・腰痛・膝痛
事実、肥満者では標準体重者に比べ、かなり高頻度に生活習慣病が出現することが報告されています。
また、不妊症も約2倍、腰痛・膝痛は約17倍も多発すると報告されています。
腰痛・膝痛 | 約17倍 |
脂肪肝 | 約8倍 |
糖尿病 | 約5倍 |
高脂血症 | 約5倍 |
高血圧 | 約4倍 |
心疾患 | 約3.5倍 |
ガン(乳がん・子宮がん) | 約2倍 |
不妊症 | 約2倍 |
痩せと病気
過剰な脂肪が、各種生活習慣病の基盤となる反面、脂肪は本来、エネルギーの貯蔵タンクとして、たま体温維持、身体中へのビタミン運搬や、性ホルモンの調節、さたに内臓を正常な位置に維持するなど、大切な役割を持っています。
したがって、脂肪が少なすぎると、以下のような病状を引き起こしやすくなります。
- 環境の変化、暑さ寒さなどに弱い。
- ビタミン不足等のため、ばい菌に対する抵抗力が衰え、風を引きやすい。
- 女性の場合、月経不順、無排卵、無月経など。
- 胃下垂になりやすい
ですから、男女とも適量の脂肪の存在が健康を維持する上で必要不可欠なのです。
肥満の判定
同じような身長、体重なのに体脂肪の付き方で肥満の判定は変わってきます。
同じ体重でも筋肉や、骨による重さなのか、脂肪による重さなのかで変わるわけです。
最も正確に体脂肪率を測定できるの方法の一つは水中体重秤量法と呼ばれるものです。
水中で体重を測定し体積をもとめ。空気中での体重との比から体密度を求めます。体密度から体内の脂肪の割合を測定するのです。
簡便な方法としてはBI(Bioelectrical Impedance=生体インピーダンス)法があります。
筋肉などの脂肪以外の組織は水分が豊富で電気が通りやすい性質を持っていますが、脂肪組織は水分が少ないので電気抵抗値を計ることによって脂肪とそれ以外の組織の割合を推定することができるのです。
体脂肪計と呼ばれるものはこの方法により体脂肪率を推定しているわけです。
その他BMI(ボディマスインデックス)といわれる計算方式も良く使われます。
次の式に当てはめて22を標準とし、26.4以上を肥満と判断します。
体脂肪率の範囲 | 説明 |
男性 10%未満 女性 20%未満 |
体脂肪率は低めです。ダイエットもしていないのに体重が減ったというようなことがあれば生活状態をチェックし、お医者さんに相談しましょう |
男性10%以上20%未満 女性20%以上30%未満 |
体脂肪率は標準的です。普段の自分の体脂肪率を知って健康管理に役立ててください。 |
男性20%以上25%未満 女性30%以上35%未満 |
体脂肪率は少し高めです。若いころに比べて、体重がどんどん増加してきていませんか?運動不足だったり食事が偏ったりしていませんか?御自分の生活状態をチェックしてみることをお勧めします。 |
男性25%以上 女性35%以上 |
体脂肪率は高めです。現在の生活行動や健康状態を振り返ってみて、必要であれば無理のない原料を考えてみることをおすすめします。 |
(参考:オムロン体脂肪計肥満判定の読み方) |